KDDIとauショップの緊密なコミュニケーションが「通信キャリア戦国時代」を勝ち抜く武器に!

KDDI株式会社様

導入企業プロフィール
企業名:KDDI株式会社
設立年:1984年
事業内容:
移動通信・固定通信の両方を併せ持つ、総合通信事業者として、時代の変革をリードする企業を目指しています。個人のお客さま向けには「au」ブランドのもと、移動体通信 (au携帯電話) 事業と固定通信(ブロードバンド・インターネット/電話)事業を展開し、シームレスにつながる新しい通信環境の実現に貢献しています。また、法人のお客さまにはFMCネットワークからデータセンター、アプリケーション、セキュリティ対策まで全てのICT領域でサービスを提供し、ビジネスを強力にサポートしています。
導入概要
稼働時期:2012年2月
利用店舗数:8,600店舗(全国のauショップ等)
販売力強化のカギを握る「auショップ」のサービス品質向上を目指して

顧客との直接の接点となるauショップは、KDDIにとって、競合他社との激しい販売競争の最前線とも言える。
これまでも、シーズンごとに各社から多数の新端末が発売されている状況だったが、近年では各種スマートデバイスの登場で、その数や種類も大幅に増加する傾向にある。加えて、回線契約のためのプランも、消費者の多様な利用シーンに合わせる形で、次々と新しいものが生みだされている。

auショップの販売スタッフには、めまぐるしく変わる新製品の特長や操作方法のみならず、新サービスの内容を把握し、他社のプランと比較した場合のメリットを、顧客に魅力的な説明をすることが求められる。
また、店舗運営の観点では、期間ごとに展開されるキャンペーンといった全社的な販売施策への対応も重要だ。本部であるKDDIから指示された、店頭レイアウトやセールストークの展開などへの対応は確実に実施される必要がある。
これらの情報を迅速、かつ正確にKDDIとauショップ間で共有し、確実に接客へと生かしていくことが、KDDI全体の販売力を高めることにつながっていく。KDDIが「強固な事業運営基盤」の構築を目指す上で、auショップの強化を重要視している理由はそこにある。

技術統括本部 情報システム本部
フロント系システム部 フロント系2グループ
課長 近藤 博章 氏

そして、その強化を実現するためには、KDDIとauショップとの間でやりとりされる大量の情報をスムーズに共有し、参照しやすい形で管理するための新たな情報共有基盤が必要とされていた。KDDIでは、auショップの販売力を高め、より機動力の高い店舗運営を実現するためのコミュニケーション基盤として、ドリーム・アーツが開発する「Shopらん®」を採用した。2012年2月より、全国8600店舗での運用を開始している。

「Shopらん®」は、主に流通・小売業をはじめとする、多店舗運営ビジネスにおける、本部と店舗間のコミュニケーションと連動を飛躍的に高めるクラウド型のサービスである。多拠点のマネジメントに必要な機能を「ベストプラクティス(最良の手本)」として集約している点が特長だ。KDDIでは、顧客接点となるauショップの販売力強化のために、どのように「Shopらん®」を活用しているのだろうか。導入の経緯と、現在の利用状況、今後の展開について、KDDI、技術統括本部 情報システム本部 フロント系システム部フロント系2グループ課長の近藤博章氏、課長補佐の君塚昭成氏に話を聞いた。

「確実な情報伝達」と「現場の声」を競争力に変えたい

auショップと地域ごとに置かれた本部との間では、日々大量の情報がやり取りされている。KDDIでは、このような情報を各auショップとやり取りするために「PASCAL」と呼ばれる販売店向けシステムを構築している。今回、競合他社に対して、より優位性の高い店舗運営を実現することを目的として、導入より約10年が経過したPASCALを刷新する取り組みが行われた。

システムの刷新にあたっては、店舗の運営と販売を担当する営業部とシステム部との間で定期的にミーティングがもたれ、営業部の業務ニーズを吸い上げた上で、それが実現できる方法を検討したという。営業部が切実に求めていたのは、「本部からの通達が、確実に店舗に実施されているか」を管理するための仕組みと、販売現場での声を効率的に本部へと集め、それをスピーディに営業施策へとつなげていくための方法論だった。これらは、競合に先んじて顧客の動向をつかみ、機動力を持ってその動向に対応できる販売網を構築するためには必須の条件だったのだ。

技術統括本部 情報システム本部
フロント系システム部 フロント系2グループ
課長補佐 君塚 昭成 氏

「従来のPASCALにも、KDDIから店舗への通達を行うための機能は用意されていました。ただ、これまでのものはKDDIから店舗への一方向でしかありませんでした。競合他社を引き離すだけの機動力を実現するためには、KDDIから店舗へという情報の流れだけでなく、店舗の動向をKDDIが正確に把握することが重要です。そのため、双方向のコミュニケーションが実現できる仕組みを求めていました。従来は実際に本部通達が読まれたかどうかを管理する『既読率管理』や、レイアウト変更やポップの設置といった作業が実施されたかどうかを管理する『実施率管理』のようなことはできませんでした。また、店舗側の意見をKDDIに吸い上げ、KDDIとauショップの間で継続的な改善サイクルを回せるよう『Webアンケート』のような仕組みも欲しいという話も出てきました」(同社)

刷新にあたっては、既存のシステムを作り直す方法も検討したそうだが、そこには2つの問題があった。ひとつは、開発期間が長くなってしまうことで、運用を開始するまでの間に、競合他社に遅れを取る心配があったこと。もうひとつは、希望している機能を実現するためのコストが高くつくことだった。こうした状況の中で、パッケージ製品やクラウドサービスなども視野に入れながら検討を続けた結果、多店舗マネジメントに特化したクラウドサービスである「Shopらん®」が、今回の業務要件に最適な機能を持っていることがわかり、導入を決定した。

従来の通達システム

競合他社を先行するために求められた短期間での基盤構築

PASCAL刷新に関する検討は2011年にスタートし、初夏にはドリーム・アーツとのディスカッションを開始した。Shopらん®の導入が決定したのは夏で、翌年の2月には8600ある全国すべてのauショップでサービスインという驚異的なスピードで導入を進めた。ただその中で時間をかける事にこだわったのは「現場からの業務ニーズの吸い上げと、システムをどう業務運用に乗せていくか」であり、導入作業には「ほとんどかかっていない」という。既に“店舗ではこう使うと効果的”等といったオペレーションが予めシステムに組み込まれ、名だたる店舗ブランドの利用によって磨きあげられていたサービスを利用することで、ベースの部分の議論は殆ど不要だったという。また構築期間を短縮し、低コストでスタートできるクラウドサービスのメリットを最大限に生かした導入となった。

なお、実際の運用にあたっては、ドリーム・アーツが提供する「Shopらん®」のサービスを、KDDIが国内で運用するクラウド基盤「KDDI Virtualデータセンター」上で稼働させている。自社サービスによって、可用性、耐障害性、高パフォーマンス、高セキュリティを実現するインフラを確保した上で、認証部分等をPASCALの他のシステムと、Shopらん®とが連携できるようカスタマイズを行っているという。「Shopらん®には、こうした開発が可能なAPIが用意されている点も、導入決定にあたって大きなポイントだった」と話す。

また、今回の導入にあたって、KDDIではドリーム・アーツにShopらん®環境の「分割管理」を行えるよう要望を出したという。全国各地のauショップを管理するにあたって、KDDIでは地域性や習慣など、地場の特性に適応した運営を行えるよう、各地域ごとに支社単位で管轄する仕組みをとっている。本部と店舗間のコミュニケーションを全国レベルで均質的に高くすることを求めていた一方で複数の拠点が、それぞれの地域の店舗を個別に管理できる仕組みも必要だったのだ。ドリーム・アーツではこの要望を受けて、支社単位やホールディングス(持株会社)での利用も意識した分割管理の機能を実装。現在では、この機能も製品の標準機能として提供されるようになっている。

Shopらん導入の効果
1.販売増の基礎となる「接客時間」が増加

Shopらん®の実稼働に先がけて、各店舗への移行説明を行っていたことも奏功し、新システムへの切り替え後に、操作に関する問い合わせは少なかったという。KDDIでは、「もともとの要件として、マニュアルがなくても販売店側で直感的に使える環境を導入したいと考えていた」と話す。

Shopらん®は、先進的な取り組みを行っている多くの多店舗運営企業への導入実績がある。そして、実際の運用の中で培われた効果的な活用方法、業務上の工夫や新たなアイデアなどを取り入れながら、多店舗運営の「ベストプラクティス(最良の手本)」としてサービスに継続的に反映させている。もちろん、ユーザーインターフェースについても、パソコンを操作する時間が限られている店舗スタッフが、直感的に使えるよう、改良が行われてきている。また、Shopらん®はその日に届いた本部通達を「まとめて」印刷できるため、バックヤードなどに掲示し、営業時間中はパソコンに触れる機会のない店舗スタッフまで含めて徹底した情報共有が実現できる。こういった直感性の高さや店舗業務を意識した使い勝手が、KDDIでも問い合わせの少なさという形で表れているのだ。

情報の見やすさ、操作のしやすさといった店舗スタッフにとっての「使い勝手の良さ」には、運用サポートの負荷を下げつつ、ユーザーによるシステムの利用率を向上させて、導入効果を継続的に高められるといったメリットがある。もちろん、個々のスタッフにとっては、操作方法のマニュアルなどを参照する必要がない「直感的に」使えるシステムを使うことが、日常業務の負荷を下げることにつながる。auショップでも、Shopらん®の利用によって生みだされた時間や精神的な余裕を、売上につながる販売業務や情報の収集、接客時間にあてることができている。

多店舗運営ビジネスに特化したWebアプリケーションとして洗練されてきた、Shopらん®の使い勝手の良さは、KDDIが求めていた要件にも合致していたというわけだ。

2.現場状況の「可視化」がサービス品質向上を実現

現在KDDIでは、KDDIから各auショップのスタッフへ通達されるすべての情報の配信をShopらん®を通じて行っている。その中には「新機種発売情報」「販促ツールの提供」「障害情報」など店舗運営に重要となる事項も数多く含まれている。Shopらん®では、これらの情報を伝える場合に、本部側で必要に応じてデータの更新を行えば、その内容が瞬時に反映される。さらに、各情報の店舗ごとの未読・既読の情報はもちろん、その施策が実施されたかどうかまでを管理できる。

KDDIでは、この現場の「可視化」によって、これまで把握することが困難だった「必要な情報が、確実にショップに伝わっているかどうか」を本部側で把握することが、非常に容易になったという。また、実施率の管理では、実作業にかかった時間についても管理することができるため、例えば効率的にオペレーションを実施している模範的な店舗、つまりはより多くの接客時間を生み出した店舗のやり方をヒアリングし、すべての店舗の運営に横展開していくといったことも可能になった。

同社では「最新情報や成功例を即時に全体へと周知し、共有できることで、すべての店舗における対応のスピードアップやレベルの向上につながる基盤が整いました」と話している。

Shopらん導入後の運用イメージ

3.本部と店舗が響き合い、営業施策に即反映

そして、従来と比べて大幅に利便性が高まったのが「アンケート」の運用だ。従来から、KDDIでは各auショップの現状や、本部への要望といったものをフィードバックするための方法として、アンケート調査をよく実施していたという。しかし、その方法は通達システムで、PDFによるアンケート用紙を配布するというものだった。各auショップではそのPDFを印刷し、回答を記入した上で、FAXで送信するというプロセスをとっていた。そのため、ショップでの回答の負荷が高いだけでなく、回収後の集計やレポートの作成を行う本部においても、多大な時間とコストがかかっていたという。

Shopらん®の導入以降は、標準のWebアンケート機能を利用できるようになった。これにより、各店舗での回答にかかる負荷が軽減されて回答率が向上したほか、本部側でもアンケートの作成や配布、その回収と集計が大幅に合理化され、店舗改善案への反映がよりスピーディになったという。auショップでの接客時間だけでなく、本部においても将来における店舗改善策を講じるための時間をShopらん®がより多く生み出したと言えるだろう。

「このアンケート機能は、本部とauショップ間の双方向コミュニケーションを実現する上で重視していた部分です。アンケート結果や回収率の集計も自動的にリアルタイムで行えるため、ショップ側の要望や意見を、ビジネス展開に迅速に反映していくためのツールとしても可能性を感じています」(同社)

より効率的なコミュニケーションのために活用範囲を拡大

auショップとの新たなコミュニケーションシステムとしてShopらん®が導入されてから約半年が経過し、その運用スタイルも少しずつ変化しているようだ。例えば、双方向コミュニケーションを実現したことで、実際にシステムを利用している店舗スタッフの要望を受けて、画面上に表示される項目や表示色などを、より直感的で使い勝手の良いものに変更していくといった作業は、定期的に行われているという。

また、当初想定していた範囲での利用が早期に定着したことで、導入時には利用する予定がなかったマニュアルなどの文書を格納できる「書庫管理」の機能を、今後、積極的に活用していきたいと考えているという。PASCALには、別途、文書管理の機能が用意されているが、Shopらん®の書庫機能では、各ショップで顧客に対して提示する、特に利用頻度が高く、アップデートも定期的に行われるような書類(本人確認書など)の管理を行う形で、使い分けを検討しているという。

「Shopらん®の書庫機能については、内容のアップデートが容易に行え、最新の内容が即座に配布できるメリットを生かしたいと考えています。特にショップで頻繁に利用される書類、定期的にアップデートされる書類、各支社で個別に管理される書類などの共有については、本部からの通達を確認するためにも利用しているShopらん®を利用する方が、店舗側にとっても便利ではないかと考えています。これはShopらん®が早期に定着したことで出てきたアイデアです」(同社)

KDDIと店舗、店舗と店舗の深いつながりが競争に打ち勝つ「武器」に

販売力の核となる「auショップ」との情報共有を円滑化するための基盤として、Shopらん®を選択したKDDI。今後同社では、この基盤を存分に活用して、auショップの強化、顧客への情報提供やサービス提供の質を向上させていくための取り組みを続けていく。

例えば、Shopらん®では、通達の既読率や実施率が自動的にグラフ化される機能が用意されている。アンケートの回答集計などもそうだが、「コミュニケーションの状況を可視化できる機能」が標準で備わっていることが、店舗での顧客対応を継続的に改善していくためのカギになるのではないかと考えているという。

「これらの可視化機能は、各本部とauショップとのコミュニケーションはどうあるべきか、どのようなコミュニケーションがより効果的かを検討し、実践するという改善サイクルを回していくにあたっても必須のものだと考えています」(同社)

客観的な指標が用意されることで、例えば、現場のスタッフが独自に工夫して成功しているコミュニケーションの方法や、店舗運営のノウハウを、すべてのauショップで共有できるような仕組みへと発展させていける可能性も生まれつつある。

このビジョンを実現するために、KDDIではドリーム・アーツに対し、同社のITによるコミュニケーション活性化のノウハウに基づいた運用のアドバイスや、機能面での要望に対する迅速なフィードバックなどを求めていきたいとしている。クラウド型のサービスであるShopらん®では、ユーザーの希望によって実装された機能が標準機能として取り込まれていくケースが多い。8600店舗のauショップ等という大規模な運用の中で生まれるニーズや要望が、KDDIとドリーム・アーツの協力によって、どのように今後の製品に反映されていくかという点も興味深い。