海外の小売業界で急増する「BYOD」の魅力とは

Hello there!
“Shopらんチーム認定”海外調査員のMayukoです。

今回の「#海外のお店レポ」は、「BYOD」についてお話ししたいと思います。

ご存じの方も多いと思いますが、「BYOD」は「Bring Your Own Device」の略です。「個人所有のデバイスを職場に持ち込んで業務に利用する」ことを言います。

BYODの今

今回見つけたのは、「Study Shows Workers Support ‘BYOD’」というタイトルの記事。

5業界1,000名の時間給労働者を対象にした調査の結果、BYODを支持する労働者が多く、小売業界においてはBYODを取り入れることで生産性や従業員エンゲージメント/ロイヤルティの向上などが期待できることを説明していました。

先端テクノロジーやサービスの導入で小売業界をリードするウォルマートでは、店舗スタッフが業務で自分のデバイスを使うか(BYOD)、店舗支給のデバイスを使うかを選べるそうです。

Workers Support BYOD

出典
Winsight Grocery Business: Study Shows Workers Support ‘BYOD’

小売・サービスの現場とBYOD

私自身はBYODについてあまり知らなかったので、ほかの記事も探してみました。

BYODが生まれた背景にあったのは、スマートフォンの普及でした。
2018年のアメリカにおけるスマートフォン所有率は77%で、職場でもスマートフォンを使うのが当たり前になっています。BYODを適用する企業の割合も急増しており、北米では2017年の36%から2018年の初めには50%にまで増加したそうです。

急速に広まっているBYODですが、プライベートでも仕事でも同じデバイスを使うことになるので、当然、セキュリティ面やワークライフバランスなど、懸念点はいろいろと挙げられます。BYODのデメリットや課題に触れている記事はどれも、導入する前に規則や方針、セキュリティなどをしっかり固めておく必要性を説いていました。

職場利用する個人デバイスのセキュリティ対策が発達しても、そういった懸念を完全に拭うのは難しいでしょう。けれど、企業にも個人にもそれに勝るメリットはあるようです。
たとえば、企業にとってはデバイス購入や管理などにかかるコストを浮かせることができますし、従業員も複数のデバイスを持ち歩く必要がなく、使い慣れたデバイスであれば利用時のストレスも軽減できます。

ここまでは業界を問わない共通のメリットですが、小売・サービスの現場ではBtoB企業とは別のメリットもあります。

BYOD in Retail

出典
NewStore: Why BYOD Is The Next Frontier in Retail

ある調査では、お店を訪れるお客さまの63%は価格やキャンペーン、在庫状況といった情報を自分のスマートフォンで調べていることがわかったそうです。さらに83%が素早く情報にアクセスできるよう店舗スタッフへのデバイス支給を期待しているとか。

あらゆる情報にだれもが簡単にアクセスできる今、対応スピードはお客さま満足度に直結し、ひいては売上に影響する重要な要素。店舗スタッフの手元にデバイスがあるかないかで、お客さま対応のスピードに大きな差が出ることは簡単に想像できます。
さらに、そのデバイスが店舗スタッフが普段から使っているものであれば、操作に手間取ることなく、よりスムーズに情報提供ができるのです。

mayuko

私は学生時代に某大手アパレルショップでアルバイトをしていましたが、そこで使っていたデバイスは店舗支給のiPod touchでした。
iPod touchに触れるのは勤務中だけ。どこにどのようなアプリがあって、それぞれのアプリをどう使うのか、慣れるまでかなり時間がかかりました。いざというときに操作にもたついてしまい時間がかかった挙句、お客さまの探されていた商品の在庫がなくがっかりさせてしまった苦い記憶もあります。そのときはやはり、使い慣れているツールだったら…と思いました。

こうしたメリットを考えると、スタッフの入れ替わりが多い小売・サービス業界でも、生産性とお客さま満足度を向上できる有効な手段としてBYODを取り入れる企業が増えるのも納得できます。

日本企業とBYOD

欧米や中国・韓国などでスタンダートになりつつあるBYODですが、日本では制度として設けている企業はまだまだ少ないようです。確かに仕事用とプライベート用で複数のデバイスを持ち歩く人をよく見かけますよね。

なぜ日本ではBYODが普及しないのでしょうか。

シトリックスがおこなった調査によると、日本企業のIT担当者は海外企業よりも職場でのBYODやSNS利用をセキュリティリスクとしてはるかに強く認識しているそうです。
その要因として、「知識と資格を持ったセキュリティスタッフの不足」「職場でのミレニアル世代の増加」「ビジネスとIT運用管理の複雑さ」が特に海外よりも大きな割合を占めています。

しかしBYODには抵抗があっても、従業員が使うデバイスをひとつにまとめられる方法はほかにもあります。

COPE」は「Corporate Owned, Personally Enabled」の略で、企業から支給されたデバイスを私的に利用する許可を与えることです。(もちろん条件や制限は企業によってさまざまです)

CYOD」は「Choose Your Own Device」の略で、企業から提示された複数のデバイスから従業員が選択して利用するパターン。企業によってデバイスの利用範囲や契約範囲などは異なりますが、企業が管理しやすい点で日本ではBYODよりも受け入れられそうですね。

BYODもCOPEもCYODも、それぞれにメリット・デメリットがあり、企業が変わればどれが適しているかも異なります。いろいろな記事を見てきましたが、判断は慎重に、というのが結論のようです。

日本でもデバイスを活用するお店はどんどん増えていますが、今後どう変化していくのか気になりますね。

参考
Retail Info Systems: Why Retailers Should Embrace the BYOD Revolution
Forbes: The Future Of BYOD: Statistics, Predictions And Best Practices To Prep For The Future
CALERO: BYOD VS. CYOD VS. COPE – HOW TO CHOOSE THE RIGHT ENTERPRISE MOBILITY STRATEGY
ZDNet Japan: 日本では「BYOD」「SNS」は“セキュリティリスク”–シトリックス調査

では、おもしろそうな情報があったらまたお届けします。
See you around:)