こんにちは。Shopらんチームの上野谷です。小売店の経営者が正しい経営判断を行うためには、適切なデータに基づく売上予測が必要です。 しかし多くの店舗では、そのような売上予測が行われていないのが実情です。そうした事態が続くと過剰在庫や売上の機会損失を招いてしまう恐れがあります。そこで本記事では、売上予測の重要性や、的確な計算方法について解説します。
店舗の経営時に商品の売上が上がると予測されるときは、その分商品を大量に仕入れたり売り場の店員を増員したりするなどの対応が必要です。逆に売上が下がると予想されるときは、その分仕入れを減らす対応が必要になります。またどの程度の売上が見込めるか把握しておくことで、設備の改善などに使える金額を事前に見積もれます。
このように店舗を経営していく上で、経営者は売上予測を基に適切なリソースの配分を行う必要があります。事前に各店舗の売上を高い精度で予測できるようになれば、例えば各店舗でどれだけの商品を仕入れるべきかといった在庫管理や、各店舗への適切な人数の人員配置などを過不足なく行えるようになるでしょう。
それでは経営者が的確な売上予測をするためには、どのようなデータを用いて計算を行えばよいでしょうか。具体例を紹介していきます。
各店舗の売上予測を立てるためには、以下のようなデータが必要になります。 ・月別や四半期別など定期的に集計された売上実績 ・商品別に集計された売上実績 ・複数年にわたって集計された各店舗の平均成長率 この際重要なのが、集計するデータの精密性です。大雑把な見積もりで入力されたデータを参照してしまうと、算出される売上予測も信頼性のできないものになってしまいます。データを集計する際は、伝票や毎期の売上報告書を基に、正確な数値を算出してください。 また直近のデータまで参照できるようにすれば、よりリアルタイムに近い状況が反映された、精度の高い売上予測を行えます。 正確かつ最新のデータを集計することが、売上予測の精度を高めることにつながります。
最もシンプルに売上予測を行える、前年同月比による売上予測の計算方法は以下の通りです。
売上予測 = 前年の売上 × (年間平均成長率 + 1.0)
実際に例を挙げて説明していきます。ある店舗における直近3年の売上高を基に売上予測を行うことになり、各年同月の売上が以下の通りであったとします。
2017年…1,000万円 2018年…1,100万円 2019年…1,500万円
この場合、2017年から2018年の年間成長率は10%になり、2018年から2019年の年間成長率は約36%になります。ここで注意する必要があるのは、2017年から2019年の年間平均成長率を求める場合、10%と36%の平均で23%とはならないことです。
ある年から目的の年度までの年間平均成長率を求める場合の計算式は以下の通りになります。
(目的の年度の売上 / 初年度の売上) ^ {1 / (目的の年度 – 初年度)} – 1
今回の例に当てはめると、「(1,500万円 / 1,000万円) ^ {1 / (2019-2017)} – 1」となり、2017年から2019年までの年間平均成長率は約22%となります。この数値を用いて前年同月比による2020年の売上予測を行うと、「1,500万円 × 1.22 = 約1,830万円」となります。 今回はわかりやすく直近3年分の数値を求めて計算を行いましたが、より年数を掘り下げて判断することで信頼性の高い指標を導き出すことができます。
売上予測の計算方法を見ていきましたが、このような煩雑な計算を1つずつ手作業で行うのは限界があります。そこで、売上予測を自動で計算できるツールについて紹介していきます。
表計算ソフトの「Microsoft Excel」を用いれば、簡単な売上予測程度であれば関数やExcelの機能を用いることで計算ができます。そのためすでにExcelを利用している場合は、追加投資をせずにツールを用いた売上予測が行なえます。 Excelを持っていない場合も、「Googleスプレッドシート」など、同様の機能を持ったスプレッドシートで代用できます。 ただし表計算ソフトでは管理可能なデータ容量に限界があり、使用する関数が増大するほど処理が重くなり、動作も不安定になってしまいます。データを抽出して分析するといった複雑な作業をした場合、アプリケーションが突然落ちてしまうということまで考えられます。
そこでよりスムーズに、そして安定した動作で売上予測が行える「SFA」の利用をおすすめします。
SFAとは「Sales Force Automation(セールス・フォース・オートメーション)」の略で、一般的に「営業支援ツール」とわけされます。 毎日の営業活動の成果をSFAに入力することで、データとして随時蓄積されていきます。蓄積したデータはひと目でスムーズに確認ができ、店舗別や商品別といった区分けも行えることから、より多角的な確認を行えます。 また、SFAには売上予測機能もついており、売上予測に関わるさまざまな作業をツール上で行うことが可能です。このようにSFAは経営者の迅速かつ安定的な営業判断に役立ちます。
まとめ
売上予測を行うにあたっては、ツールを活用することで書類管理の手間が減り作業時間が効率化できるだけでなく、計算ミスも少なくなり高精度に売上予測を導き出せるようになります。 まだ計算ツールを導入していないという経営者の方は、この機会により効果的なツールの導入を検討して、業務内容を改善しましょう。