こんにちは、堀井です。
「本部⇔店舗」間の『情報共有』の“理想形”…というお題をもらったのですが、範囲も広くて深いテーマですよね。
一言でいえば、チェーン店舗の売上UPを目指して必要な情報を適切なタイミングで、関係するメンバーに届けてアクションに繋げるための『情報共有』なので、下図のように(1)~(5)のプロセスにわけて整理しながら、考え方や方法についてお話ししていきたいと思います。
というわけで最初のテーマは「(1)本部からの発信ー情報の流し方ー」について。
と、その前に「そもそも論」から…アタリマエのことですがあらためて。
世の中には「チェーンストア理論」も存在しますが、ごく簡単に述べてしまえば10店舗以上の店舗を、本部と店舗の役割と機能(*1)を明確にしたうえで開発~展開~運営し、「3S手法」(*2)をベースとして、規模の利益と効率を追及して売上/利益の最大化を目指すビジネスの形態です。
※2:「3S手法」
現在のチェーンストアを取巻く環境は、少子高齢化という時代背景もあり、 ①慢性的な人手不足→②小売コストの増加+③競合の激化(ネット販売含む)等 の要因で非常に厳しく、売上/利益を伸ばしているのはごく一握りの企業(チェーン)だけです。
つまり多くのチェーンストアでは、最低限の人員で何とか店舗を運営し、日々の売上を増やすことに四苦八苦しているのというのが実態であり、なんらかの方策が求められています。
そんな環境のなか、「本部」も新しい商品や魅力あるサービスを開発したり、販促施策を考えたりシステムや制度を改善/導入したりと、店舗運営を上手く回し、売上/利益を増やすための努力を重ねています。
そしてこの内容を【通達(案内)】 として「店舗」に発信するのですが、発信数がかなり増えてしまうことが多いです。そのため、受け手である「店舗」で捌ききれず、本当に重要な情報が埋もれてしまって、結果として作業がモレたり徹底度が上がらないという話もよく聞かれます。
いよいよ本題に入っていきますが、「本部」⇒「店舗」への情報発信はどうあるべきなのでしょう?
【通達(案内)】の受け手で、実施や徹底する「店舗」の立場で考える事がとても大切です。
つまり、内容がわかり易く、件数は極力少ないということがベストでしょう。
「本部」からの【通達(案内)】は、作業や行動の有無によって下記のパターンに分類できるのでその点をわかり易く、きちんと明示することが第一歩です。
例:本部内の人事異動、本部のプレス発表内容・・・ 関連する店舗スタッフへの共有は必要ですが、店舗運営上で作業は発生しない場合、内容をわかり易く明示するくらいで充分でしょう。
例:新規商品導入に伴う売場の変更、セール/キャンペーンの展開、店長集合研修、販促備品のオーダー、販売実績の報告・・・ 期限通り実施するためには前準備も必要でしょうし、そのためにはシフト変更や作業割当などが発生するので、“いつまでに何をすべきか”を明確に提示することがポイントです。
下記3W1Hを簡潔に述べること。
件数は少ないほど良いですが、、「本部」は必要な情報はきちんと流さなければなりませんし「店舗」では【通達(案内)】の内容を、期間内に確実に実行しなければなりません。
ただ、週毎の発信件数のバラツキがないほうが、「店舗」の作業や人員が平準化されて、徹底度も高くなるので、下記の様な配慮が必要でしょう。
例:夏場に向けて販売増が期待されるアイスクリームに関する情報が、以下の5つの部署から別々に通達[商品説明:商品部] [販促物:販促部] [陳列方法:営業部] [前年実績と本年計画:営業部] [発注方法:製造部]
⇒関連する情報を極力1件にまとめることで、「店舗」も確認/共有しやすくなりモレが減少。徹底度も高くなります。
チェーンストアでは、月曜~日曜を一週としたマネジメントサイクルで回していることが多いので「店舗」の計画的運営を進める意味でも、「本部」からの発信曜日を決めることが大切です。
もちろん「緊急情報」については、曜日に関係なく発信する必要があります。「作業や行動が発生する情報」はシフト調整が発生する場合も多いので、実施期限や発信曜日にもよりますが、遅くとも前週までには【通達(案内)】を流す必要があります。
またある週は10件で翌週は3件とか、週毎で件数がバラつくと店舗でも計画が立てにくいので実施時期が決まっていて仕方がない場合もありますが、極力平準化を図ることが重要です。
★忘れてしまうほど早すぎない、計画や準備が間に合わないほど遅くないが、グッドタイミングです。
※1:「本部」と「店舗」の役割と機能