対策優先度を決めるABC分析!分析方法やポイントを紹介

こんにちは。Shopらんチームの上野谷です。店舗運営では、どの商品がどれだけ売れ、いくつ在庫が残りそうなのかを適切に把握する必要があります。
需要を読み違えて品切れを起こすことや、ムダに在庫を抱えることは避けたいものです。この記事では、適切な在庫分析をする上で重要な役割を果たすABC分析の概要や具体的な手順、ポイントを解説しています。ぜひ活用してみてください。

ABC分析とは

ABC分析は、「全体の数値のほとんど(80%)は一部の要素(20%)が発生させている」というパレートの法則(80:20の法則)をもとにしたデータ分析法の1つです。経営や物流、マーケティングなどさまざまな分野で使われています。パレートの法則を商品売上に当てはめると、「売上額の80%は上位20%の商品が占める」となります。そこでABC分析では、売上や販売個数などのデータを参考に、商品を優先度順にA・B・Cのランクに分け、ランクごとに管理・分析を行います。
これにより、Aランクの商品(売上貢献度:高)の商品は多めに仕入れて欠品を防いだり、Cランクの商品(売上貢献度:低)の商品は改善案を考えたりと、取り組むべき点が見えてきます。

ABC分析の手順・方法

ABC分析の具体的な分類方法・パレート図の作成手順を解説します。

ABCの分類

まずは売上データからABC分類を行います。目的に応じて、売上以外に在庫や販売個数、利益などで分類しても構いません。ここでは売上から分類するので、一定期間の商品別売上データを用意してください。これを売上金額順に並べ替え、売上構成比と累積構成比を計算します。
累積構成比に合わせて、Aランク・Bランク・Cランクに商品を分類します。分類の仕方は、Aランクが構成比50%まで、Bランクは51~90%まで、Cランクが91~100%までとします。これらの数値は目安なので、繰り返し分析を行いながら適宜調整をしていくとよいでしょう。
Aに属する商品は売上に与える影響が最も高いものです。Bの商品はほどほどの影響力があり、Cの商品は売上への影響が小さいとわかります。

ランクの分類により、重視すべき商品とそうでない商品が明確になりました。このように重要度別に商品を区別することで、管理や注力すべき点を合理的に見える化できる点がABC分析のよい点です。

パレート図の作成

次に、ABC分類からパレート図を作成しましょう。数値データだけで見るよりも、グラフで表現した方が視覚的にわかりやすく、重要度も認識しやすいです。パレート図を作成するには、売上の多い商品順に棒グラフで表し、累積構成比を折れ線グラフにします。エクセルなどの表計算ソフトで作ると簡単です。
パレート図を作るときは、分析項目の細分化しすぎに注意しましょう。本来の問題点を見失ってしまいます。また、分析期間が長すぎると、主力商品の変更など多くの変化点を含んでしまい、あまり参考になりません。店舗や企業にとって大きな変化点を含まない程度の期間で分析しましょう。

ABC分析のポイント

ABC分析を活用する際の注意点や考え方を紹介します。

分析結果だけでなく総合的に判断する

本分析法を活用する際は、総合的な視点が欠かせません。Aに入った商品の中には、一時的に売上が激増した商品と長期的に高い売上を出している商品の両方が含まれるからです。そのため、前期の売上状況なども参考にしながら判断しましょう。
また、これから売上アップが期待される新商品の場合、発売してすぐは正確なデータとは限りません。今後売上が急増するケースも想定されるため、ランクが低いからといって手を抜くと将来的な利益を逃してしまうでしょう。

以上のように、商品の特性を考えつつ、ランクに振り回されないことが大切です。本分析を使う際は、総合的な視点での判断や分析を行いましょう。

ロングテールも見逃さない

分類の結果Cに属する商品は重要度が低いと考えられますが、必ずしも不要ではありません。例えば、通販サイトを運営している場合は、Cの商品もあえて取り扱うことでニッチな需要に応えられます。
売れ筋だけでなく幅広い商品を販売することで、客層も広くなる可能性があるのです。売上は少ないけれど、一定数の需要が持続する商品を「ロングテール」と呼びます。

ABCの活用事例

本分析法の具体的な活用事例を紹介します。

1つ目は、商品の売上状況の分析です。分析するには、一定期間中の売上額がわかるデータを用意します。そして、全体の売上総額、商品ごとの売上額構成比を出し、その構成比をもとに分類を行ってください。そうすると、重要な商品を明確にできます。商品の特性や分析目的に合わせて、売上額だけでなく、指標にするデータを変更しまましょう。

2つ目は、商品が販売されるまでの原価の分析です。商品にかかる原価は、原材料費だけではありません。輸送費や倉庫の家賃・光熱費・人件費など、間接的な費用も原価に含まれます。分析する際は、商品の販売までにかかる原価を一度すべて算出しましょう。商品ごとにかかる原価を知ることで、費用を削減できる部分やムダが多い部分に気付けることがあります。

3つ目に、飲食店の在庫管理やメニュー開発です。メニュー開発では、お店の各メニューを売上・販売数をもとにランク分けします。また、メイン・サイド・ドリンクなどのメニューカテゴリ別で分析すると、強化すべきカテゴリが明確になります。月ごとの分析をすれば、イベントや季節ごとに人気があるメニューを把握できるため、その時期に合ったメニューに変更することも可能です。

まとめ

ABC分析は指標データを基にして重要度別に商品をランク付けし、分析する手法です。商品の重要度を可視化することで、経営リソースの配分先や、商品の改善策を検討しやすくなります。
商品の重要度を明確にできる手法ですが、商品が売れている理由はランクやデータだけではわかりません。そのため、分析する際は総合的な視点での判断も求められるでしょう。

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