感情労働とは?バーンアウトなどの症状やストレス対策の方法を紹介

こんにちは。Shopらんチームの上野谷です。感情労働という言葉をご存じでしょうか?
感情をコントロールしながら働かなければならない職業を意味し、従業員のストレスマネジメントが必須になります。本記事では感情労働について解説しながら、効果的なストレス対策についても紹介します。

感情労働とは

「感情労働」とは、「肉体労働」や「頭脳労働」に並ぶ第三の労働カテゴリーです。感情労働の概念は、1983年に出版された、アメリカの社会学者A.R.ホックシールドの書籍で提示され、日本でも近年知られるようになりました。ホックシールドは、客室乗務員が不愉快な乗客の応対をする際にも笑顔で接しなければならないのは、職業によってふさわしい感情や感情表現のルールがあり、それに従わなければならないからだと指摘しました。

つまり感情労働とは、労働者がその業務を遂行するにあたり、自分の感情や感情表現を制御することが不可欠な働き方を意味します。「お客様は神様」という言葉に示されるように、おもてなしの文化が根強い日本においても、感情労働はさまざまな業種で高いレベルで要求されていると言えるでしょう。

感情労働が必要な職種

ホックシールドによれば、感情労働とは「対面」や「声」によって顧客と接触する労働だと定義されますが、現在ではメールなどのコミュニケーションツールを介しての仕事もここに含まれると考えられます。
例えば、サービス業や会社の営業職ならば多少嫌なことがあっても顧客の機嫌を損ねないように、にこやかに対応することが求められるでしょう。ホテルマンや販売員など、直接顧客に接する業種には、感情労働が求められます。

また、コールセンターやカスタマーセンターなどのクレーム対応では、何らかの不満やトラブルを抱えた相手に、自分自身には責任のないことでも謝罪して場を収めなければならないことが多々あります。
ほかにも、教師や保育士ならば逆に、にこやかに対応するばかりでなく、子どもが悪さをしたら先生らしく叱ってやらねばなりません。さらに、医療職や介護職の従事者は、単に体の世話をすればいいというだけでは済まず、不安や不自由を抱える患者さんの心のケアまでもが求められます。命が関わる緊急事態でさえ冷静さが求められるという点でも、医療職において感情の制御は不可欠です。
人に接する仕事、とりわけ他者の「感情」の機微に触れる仕事は、感情労働の性質を持っていると言えるでしょう。

感情労働によって起こりうる症状

感情労働者は、その仕事柄、自分の感情を抑制し職務上適切なふるまいを心がける必要があります。しかし、こうした職務は精神的な負担も大きく、肉体労働や知的労働と比較してメンタル面での回復が困難な性格を持っていると言われます。特に職務に忠実な労働者ほど、顧客や職務に感情移入してしまい、精神を摩耗させやすい傾向があるようです。感情労働の従事者が発症しやすい心の病の代表例としては、バーンアウト(燃え尽き症候群)やうつ病などが挙げられます。

バーンアウト(燃え尽き症候群)

バーンアウトとは、仕事が原因で心身のエネルギーを失い、働く意欲をなくしてしまう状態を意味します。特に感情労働は仕事の充実度を得にくく、バーンアウトを招きやすい職種と言われています。中には、職業人としての自分と、本来の自分との境界線が曖昧になってしまい、喜びや悲しみといった自分本来の感情を見失ってしまうケースまで見られるのです。

うつ病などの精神疾患

感情労働では、どのような状況でも自分の感情を制御し、表情や態度を取り繕わなければいけません。このように日常的に感情を抑制する行動は、労働者の精神に大きなストレスをためることになり、うつ病を発症したり、ストレスの転化行動がいき過ぎて何らかの依存症を患ったりするケースもあります。

企業に求められる感情労働者へのストレス対策

ここまで解説してきたように、感情労働者はストレスをためやすく、場合によっては心の病にかかってしまうことまであるでしょう。顧客に対して安定したサービスを提供するためにも、企業には感情労働者のストレスに配慮することが求められます。以下では、そうした企業のストレス対策の一部を紹介します。

ストレスチェック制度の導入

ストレスチェック制度とは、従業員の精神的不調を未然に防ぐことを目的として2015年12月に施行された制度です。従業員のストレス状況を把握することで、ストレスが高い場合は医師の診断をいち早く受けられる、職場環境の問題を発見できるなどの効果が見込まれます。

職場環境の改善

従業員のストレスを軽減するための抜本的な対策は、職場環境を改善することです。対策の具体例には業務の標準化や効率化、テレワークやフレックスタイム制の導入などが挙げられます。勤務時間について言えば、従業員がリラックスできる時間を持てるように、過重な労働時間にならないように配慮することが必要です。
しかし何よりも大事なのは、従業員が一人でストレスを抱え込まないように、企業が従業員に親身に寄り添う姿勢を明確に示すことかもしれません。職場環境の改善策を考える上では、先のストレスチェックの結果を分析することが、役立つでしょう。

まとめ

本記事では感情労働の基本的な定義や、その仕事に付随する問題、ストレス対策などについて解説しました。「心から」仕事に打ち込むことは、人に関わる仕事にとって理想と言えるかもしれません。しかし、それによって従業員が負担を背負いすぎてしまわないように、企業全体で従業員自身の「感情」をケアすることが求められます。

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