アパレル企業の生き残りにサステナビリティが必要な理由

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“Shopらんチーム認定”海外調査員のMayukoです。

#海外のお店レポ」シリーズ、今回のテーマは「サステナビリティ」です。

このコラムシリーズでも、「環境先進国スウェーデンに誕生!世界初の〇〇モール」や「新たな流行?ブランドが環境保全に取り組む理由」、「こんなにも違う!日本と海外の返品事情」などでたびたび触れてきましたが、近年サステナビリティ実現に向けた取り組みが加速しています。日本でも小売業界を中心に、プラスチック製ショッピングバッグの廃止や、環境に優しい素材の開発など、環境に配慮した取り組みが増えてきていますよね。
*SDGs(Sustainable Development Goals)の影響ももちろんあるでしょうけれど、この変化の背景にあるのはそれだけではありません。地球環境や野生の動植物を取り巻く問題の実情がSNSやインターネットなどで拡散され、問題意識が喚起されることで、消費者の意識自体が変わってきているのです。

*SDGs(持続可能な開発目標):2015年の国連サミットで定められた「持続可能な開発のための2030アジェンダ」に示される、持続可能な世界の実現に向けた2016〜2030年の国際目標

売れ残り/返品された商品のゆくえ

少し前になりますが、「Textile waste has increased 811% since 1960」という記事がありました。
この記事によると、アメリカにおける繊維製品の廃棄物が1960年から2015年の間に8倍以上に増えたそうです。排出量は2015年には1,600万トン以上にもなり、その大部分がゴミ廃棄場送りになっているとか。

2017年の調査では、廃棄前に服が着用される平均回数は過去15年間で36%減少したこともわかっています。この要因のひとつとしてあげられているのが、低価格でトレンディなアイテムを提供するファストファッションの流行。長持ちしないけれど手軽に購入できることが、大量生産・大量廃棄につながっているといいます。この問題の解決にむけて、有名ブランドやスタートアップ企業が次々と対策を打ち始めているようです。

textile waste increase

出典
Retail Dive: Textile waste has increased 811% since 1960

繊維素材は断熱材や詰め物など、衣料品のほかにも多様な使い道があります。最近は有名ブランドがリサイクル素材や廃棄素材からできた商品のラインアップを出したり、廃棄繊維の再利用に特化した廃棄物管理サービスが生まれたりと、廃棄物の問題に取り組む動きは増えています。しかし、古着の素材を再利用のために加工する技術はまだ十分に発達しておらず、廃棄物排出量削減の道のりは長いようです。

一方で、できるだけ廃棄物を出さないサプライチェーンの実現を目指すブランドも増えています。
たとえば、スーパーなどの「農場から食卓まで」に似た、「種まきから縫製まで」というコンセプトでスタートしたDTC(Direct-to-Consumer)ブランドのAll Nationsは、材料の生産から加工、製造、販売まですべて一貫して自社でおこなっています。
従来のサプライチェーンでは、安い材料を安く加工するために高い輸送費がかかってしまいます。All Nationsは、コストと環境の両面におけるこうした課題を解消できるビジネスモデルを実現。製造過程を柔軟にコントロールできるため、在庫やスケジュールに合わせて過剰生産を防ぎ、スピーディで無駄のない製造販売を可能にしています。今、「サステナビリティ」はマーケティング戦略だけでなく、財務戦略としても多くのブランドで取り入れられるようになっているのです。

日本でも、SPA(製造小売)の鎌倉シャツが、創業当初から無駄のないサプライチェーンによるビジネスを実践しています。「国産」にこだわる鎌倉シャツでは、生地の買い付けから生産・販売までを自社でおこない、商品は工場から直接店舗へ出荷する形をとっているため、コストが最低限に抑えられるのです。ボタンダウンシャツの本場アメリカでも、低価格かつ高品質なシャツメーカーとして評価されているようです。

“サステナブル”はブランドの新たなステータス

欧米では最近、サステナビリティに関する新たな法律が生まれています。
フランスでは、スーパーの売れ残り食品の廃棄を禁止し、チャリティへの寄付やリサイクルを義務づけています。今年の夏には食品以外の衣料品や電子製品への適用も決まり、製品の修復可能指標も作成されるとか。
国際的な高級ブランドでは、転売や複製品を防ぎブランド価値を守るため売れ残りや返品された商品の廃棄が慣習化し、毎年約780億円以上に相当する商品が廃棄されています。この悪習を廃止するため、2023年までに商品の再利用やリサイクルが義務化されるそうです。

こうした法律が国家レベルで施行されるのは世界初。州や都市レベルでは、カナダのモントリオール市がまだ食べられる食品や売れ残った衣類の廃棄を禁止する法案を先月発表しました。ケベック州は、スーパーの売れ残り食品をシェルターに寄付するプログラムを設けているそうです。またAmazonも、9月に売れ残り商品を廃棄せずにチャリティへ寄付するプログラムを出品者向けにスタートし、返品や売れ残りによるおびただしい量の廃棄物排出に歯止めをかけようとしています。
アメリカでは、カリフォルニアが州として初めて動物の毛皮製品の製造販売を禁止する法律を可決。これを受けて、PradaやBurberry、 Gucciをはじめとした数々の有名ブランドに続き、大手百貨店Macy’sもプライベートブランドにおける毛皮販売を廃止すると発表しました。

fur-free brands

出典
Retail Dive: Macy’s and Bloomingdale’s to go fur free

これだけの有名ブランドや大手チェーンが次々とサステナビリティ実現に向けた取り組みに動き出したのは、表面的なブランドイメージの向上だけが目的ではありません。法律違反で罰金を科されることを避けるためだけでもありません。モノの所有やサステナビリティに対する消費者の意識が変わってきていることで、ニーズの変化に企業も適応しなければならない状況になってきていることも大きな要因となっているようです。昨今アメリカで衣料品や家具などのレンタル/再販市場が急成長しているのも、その現れなのでしょう。

日本は資源のリサイクルも進んでおり、アメリカほど廃棄物の排出量も多くないですが、ゴミ焼却炉の数は世界一。国土が狭い分、廃棄物が出ただけ焼却処分する必要があります。これが大気や土壌の汚染に直結することを考えると、廃棄物削減は日本にとっても危急の課題と言えると思います。
2020年の東京オリンピックを契機に環境配慮を推進していく話もありますし、サステナビリティに向けたシフトチェンジにスムーズに対応できるかが、今後の小売業界において生き残るためのカギになるのかもしれません。

参考
Supply Chain Dive: Why are fashion supply chains so wasteful?
Glossy: ‘Trends end’: Fashion brands are working to move sustainability efforts beyond PR
National Post: Montreal to ban stores from dumping unsold clothes, food as part of waste plan
The Telegraph: France to ban unsold clothes and electronics from being destroyed in ‘world first’
Forbes: France Moves To Ban The Destruction Of Unsold Luxury Goods In Favor Of Recycling Kate Matthams
The Verge: Amazon will now donate unsold warehouse merchandize by default instead of trashing it

では、おもしろそうな情報があったらまたお届けします。
See you around:)

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