「BOPIS」と多様化する店頭受け取りサービス

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“Shopらんチーム認定”海外調査員のMayukoです。

#海外のお店レポ」、今回は「BOPIS」をテーマに選びました。

「BOPIS」とは、「Buy Online, Pickup In Store」の略で、「オンラインで購入し、店舗で受け取る」という欧米で急速に広がっている購入スタイルです。

日本でも店頭受け取りサービスは増えていますが、海外に目を向けると、その形は急速に変化し多様化している様子が見えてきます。

「BOPIS」と「BOSS」

「BOPIS」とよく似ているものに「BOSS」があります。こちらは「Buy Online, Ship to Store」の略です。

ぱっと見、なにが違うのかわかりづらいですね。実際、オンラインで購入した商品を店舗で受け取る、という点においては同じです。この2種類を含め、店頭受け取りのスタイルはまとめて「Click and Collect」とも呼ばれます。

「BOPIS」と「BOSS」の違いは、オンラインで注文を受けた商品をどこから調達するのか、というところにあります。「BOPIS」の場合は店員が店頭の在庫から商品を確保するのに対し、「BOSS」では倉庫から商品を出荷して受け取りに指定された店舗に届けます。

当然、店頭の在庫でオンラインから注文を受けた商品をカバーできれば良いですが、在庫がなければ近隣店舗や倉庫から調達するなどして対応しなければなりません。逆に、オンラインから注文を受けた商品の在庫が店頭で大量に余っていたら、「BOSS」でさらに増やされてもお店側は困ってしまいますよね。

両者を組み合わせて使えればベストですが、在庫情報の連携や注文管理、ロジスティクス整備など課題は多いようです。

店頭受け取りサービスの進化と課題

今回見つけたのは「At Nordstrom, the next evolution of BOPIS emerges」というタイトルの記事です。

アメリカの大手百貨店Nordstromのある店舗で、試着室が増設されたとのこと。

ここまでなら大して話題にはなりませんが、この試着室は店舗の買い物客ではなく、オンラインで購入した商品を受け取りに来たBOPIS利用客のために設けられたものなのだそうです。
来店したBOPIS利用客は購入した商品をその場で試着できるので、持ち帰ったあとにサイズ違いなどの理由で返品する可能性が低くなります。

Nordstrom Fittingroom for BOPIS

出典
Retail Dive: At Nordstrom, the next evolution of BOPIS emerges

またNordstromは、BOPIS利用客が来店しやすい立地を選んで小規模店舗をオープンしました。これらはつまり購入品を返品しやすい場所でもあります。

流行の移り変わりが早い業界において、返品プロセスのスピードアップは重要なポイント。流行遅れ・シーズン遅れになる前に返品された商品を店頭やオンラインストアに回せれば、割引せずに売れるチャンスが高まります。

利用客は送料を払う必要なく買い物時間を節約でき、店舗は来店客数を増やせる。店頭受け取りサービスは双方にとってメリットがあり、利便性やコストの面でも有効な戦略のようです。今、アメリカで実店舗を持つ中/大規模の小売企業はほとんどが「BOPIS」や「BOSS」を取り入れているとか。

とはいえ「BOPIS」や「BOSS」は、普及し始めてまだ間もないサービス形態。 返品処理を含めたリバース・ロジスティクスや、店舗と倉庫両方の在庫情報を連携させた効率的なサプライチェーンの実現といった課題に、企業も頭を悩ませているようです。

多様化する店頭受け取りのスタイル

オンラインで購入した商品を自宅以外で受け取れるサービスが増え始めた背景には、宅配便の置き引き多発があったそうですが、その受け取りのスタイルはさまざまです。

店舗の駐車場で注文した食料品を受け取れるカーブサイド・ピックアップを、ほかの小売企業に先行してスタートしたWalmartは、さらにピックアップ・タワーという自動受け取り機を導入しましたし、Targetでも受け取り場所を店内か店舗の駐車場(Drive-Up)かで選べるようになりました。Drive-Upではスタッフがトランクに商品を積み込むところまでやってくれるので、利用客は車を降りる必要もありません。またHome Depotでは、身分証と注文番号で開けられるロッカーから注文した商品を受け取れます。

では、なぜ小売企業は次々と「Click and Collect」を取り入れているのでしょう。

Nordstromに限らず、「Click and Collect」の利用客は、1度のショッピングで店舗の買い物客より多く購入する傾向があるのだそうです。さらに、商品受け取りで来店した利用客の3割以上が、来店時に追加でほかの商品も購入するのだとか。
「Click and Collect」はECだけでなく、実店舗の売り上げを伸ばす点でも大きく貢献し得るサービスのようです。

「Click and Collect」が利用できるのは物販店だけではありません。ピザチェーンのLittle Caesarsは、焼きたてのピザを受け取れる特製ロッカー「Pizza Portal」を全店舗に設置しています。

Pizza Portal

出典
NRF Stores: Self-serve order pickup enhances customer satisfaction and streamlines store operations

Little Caesars と共同で「Pizza Portal」を開発したApex社はほかにも、工場でシフトに入ったスタッフが充電された状態の器具をピックアップできるロッカーや、スタジアムや映画館でモバイルから注文したコンセッションメニューを受け取れるロッカーなど、幅広い機能やサイズのロッカーを展開しています。

スタッフの業務効率化に加え、レジ待ちの時間をなくすことで顧客満足度向上も期待できそうです。
日本の映画館でも、上映時間直前のコンセッションはかなり混み合いますよね。最近はセミセルフレジを導入していたり、現金払いとカード/電子決済でカウンターが分かれているシネコンもあって、効率化のためかな?と思いましたが、対応時間の改善につながっているかは疑問です……とはいえ、こういったロッカーを導入するとなったらスペース的に難しい問題もあるでしょうけれど……。

日本でも店頭受け取りの対応店舗は増えていますが、話題にのぼることも少なく、欧米のような勢いはありません。人手不足に苦しむ小売業界の助け舟として、オムニチャネル化の一手として、これから増えていくのでしょうか。
消費者のショッピング・スタイルがどんどん進化・多様化するなか、これも今後の展開が楽しみなサービスです。

ちなみにWalmartは先日、スタッフが食料品を購入客の自宅に入ってキッチンカウンターや冷蔵庫まで直接届けるという、さらに1歩踏み込んだサービスの開始を秋に予定していると発表しました。
配達を担当するスタッフは事前に幅広いトレーニングを受けたうえで、顧客に配達の様子がわかるよう配達時はカメラを装着することになるとのことですが、抵抗を覚える人は多そう……高齢者や身体の不自由な人、来店がどうしても難しいという人には喜ばれるサービスなのかもしれませんが。サービス開始後の反響が気になりますね。

参考
Retail Dive: Is BOSS the new BOPIS?
Retail Dive: Walmart’s grocery pickup is reaching new, high-value shoppers
The Seattle Times: Walmart is beating Amazon in a business worth $35 billion
Reuters: How U.S. retailers turn their bane into boon with ‘click and collect’
NRF Stores: Balancing the benefits and pitfalls of buy online, pick up in store
Retail Dive: Will shoppers let Walmart stock their fridges?

では、おもしろそうな情報があったらまたお届けしますね。
See you around:)

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