レジレス/無人店舗テクノロジーの最前線

Hello there!
“Shopらんチーム認定”海外調査員のMayukoです。

#海外のお店レポ」シリーズ、今回のテーマは「レジレス店舗」です。

Amazon Goの1号店がオープンしてから2年弱。レジレスの波は世界に広まってきています。日本でもローソンさんをはじめさまざまな企業による店舗の無人化/レジレス化に向けた取り組みが話題になっていますよね。日本の数年先を行くと言われるアメリカの小売業界では、レジレステクノロジーも日々進歩しているようです。

最先端小売業の今

先日、株式会社日本HP主催のセミナー「米国のリテール動向とAI活用の最前線~オープンアーキテクチャで探る“店舗”のミライ~」に参加してきました。
一番の目的は「米国小売業トレンド最前線〜破壊的イノベーションによるリテール事例〜」というリテールストラテジスト平山幸江氏による講演。主に4つのテーマで、それぞれ最近話題になったアメリカ小売業の最新事例を紹介していました。
(ここではそれぞれ詳しくはお話ししませんが、各事例の具体的な内容は日本語で記事にもなっていると思うので、興味があったら調べてみてください)

破壊的イノベーションによるリテール事例

レジレス店舗の進化
Amazon Goの今後:空港や映画館内店舗へのライセンス販売開始の可能性
小型店舗における精度向上と大型店舗への適応
コンテナ店舗「ナノストア」の登場 など
AI/ロボットを活用した店舗運営
Walmartの店内ロボット導入や最新テクノロジー実験店舗
Krogerのスマートシェルフ
スマートショッピングカート など
テクノロジーが変える店舗経験
NIKEの新旗艦店「House of Innovation 000」
テクノロジー実験店舗「Modern Retail Collective」
バーチャルのメイクアップ/試着 など
ボイススピーカーの今後
現在の主な活用方法:音楽再生/天気/アラームが上位、ショッピング利用は30%
ボイスショッピングの今後:精度向上により家庭内/自動車内で活用拡大

私がこのコラムシリーズをスタートしてからまだ1年も経っていませんが、アメリカでも日本でも、ニュース記事を見ていると小売業界における変化の速さには驚かされます。特に、アメリカにおける小売業の進化は日進月歩。日ごとに新しいテクノロジーやサービスが生まれ、試され、ビジネスが変化していくようです。

Caper's Smart Cart

出典
Supermarket News: Sobeys tests smart shopping cart that scans and checks out

しかし、テクノロジーによって業務効率性や店舗体験が向上する一方、今までスタッフが実施していた作業がロボットやスマートショッピングカートなどに代替されることで、アメリカでは雇用削減に対する懸念の声も上がっています。

テクノロジーが人の仕事や収入を脅かす存在になるという話は小売業に限ったことではありませんが、テクノロジー活用の目的は、「ムダな作業をなくして、本来注力すべき業務に十分な時間を割ける環境を実現する」ことであるはず。特に慢性的に深刻な人手不足に悩んでいる日本社会にとって救いの手となることは、みなさんも同意される点ではないでしょうか。
今はスタッフの教育をサポートする体制や制度を拡充し、ロボットが入れない領域で活躍できる人材の育成を始めている企業もあるようです。こうした取り組みによるスタッフの成長が、店舗の提供価値の最大化につながっていくのでしょう。

レジレス店舗の発展

Amazonのほかにも、さまざまなスタートアップ企業がレジレステクノロジーの開発・発展に取り組んでいます。
Zippinもそんな企業のひとつ。店内のカメラと商品棚のセンサーを使って顧客と商品を追跡し、アプリで欲しい商品の棚まで誘導することもできるそうです。店舗スタッフは接客に集中でき、商品の戻し間違いや欠品状況などもリアルタイムで把握できるため、機会ロスも最小限に抑えられます。

また、Caperというスタートアップ企業は、スマートショッピングカートをスーパーなどに提供しています。これは画像認識したカート内の商品をもとにほかの商品やレシピをレコメンドしてくれて、レジに並ぶことなく会計まで済ますことができるというもの。現在、スマートフォンをカートのセンサーにかざすだけでアプリ上に作成したショッピングリストをインポートし、カートのスクリーンに表示させるテクノロジーも開発中なのだとか。登場したばかりのスマートショッピングカート、まだまだ便利になりそうですね。

Amazon Go store

出典
CNBC: Amazon is in talks to bring its cashierless Go technology to airports and movie theaters

Eコマースの台頭や競争の激化など、厳しい環境に置かれている小売企業が生き残るためには、顧客体験の向上が必要不可欠。こうしたテクノロジーの活用がその実現において大きな役割を担います。
店舗の省人化や顧客満足度向上などの効果が期待されるレジレステクノロジーは、今はまだ「Nice to have(=あるといいもの)」の域を出ません。しかし近い将来、リアル店舗において今のPOSシステムと同様、店舗運営に欠かせないものになるという意見もあります。

とはいえ、それぞれのブランドやお店によって、顧客の求める「ショッピング体験」や「利便性」も異なります。大切なのは、自店/ブランドの顧客ニーズをしっかりと見極めたうえで判断すること。ニーズや新しいテクノロジーの受け止め方も違うところはあるでしょうけれど、先行事例としてアメリカの小売業界の動向はウォッチしておきたいところですね。

参考
Forbes: Report Of Amazon Go Coming To Airports Is A Sign Of Far Greater Change To Come
Progressive Grocer: Checkout-Free or Cashierless Technologies Inch Closer to Grocery Implementation
NRF Stores: Tech partnership helps U.K. grocery chain Waitrose drive self-checkout
NRF Stores: Backers say cashierless checkout improves customer experience and brand perception

では、おもしろそうな情報があったらまたお届けします。
See you around:)

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