RetailAI様が実践する「小売業界におけるAI活用」 -イベント参加レポ-

こんにちは!Shopらんチームの堀井です。
先日、リテールガイドさん主催のウェブセミナー「小売業界AI活用の絶対的必要性」に参加してきました。
特に印象的だった、RetailAI永田社長の講演の一部をレポートでお届けします!

Key note:お客さまと商品のマッチング
リアルストアにおけるIoT/AIソリューションについて 株式会社Retail AI 代表取締役社長 永田 洋幸氏

RetailAIさんは、全国に250店舗以上のスーパーセンター(※1)を展開する「トライアルホールディングス」の100%子会社として設立された企業です。自社グループ内で養った小売業のAI化の経験・ノウハウをもとに、他社小売業に対してもご提案されているそうです。
※1スーパーセンター:食料品スーパーマーケットとディスカウントストアを一体化したようなお店。総合スーパーの一種

講演は、代表取締役社長の永田さんの「商品はお客さまに届いていますか?」という問いかけからスタートしました。お店に商品を置いているだけではなく、買い物をしているお客さまが、その時本当に求めている商品を提案できていますか?という意味です。
例えば、「洗濯用の洗剤」。洗剤と一口に言っても、メーカーはたくさんありますし、それぞれ多くの用途にあわせた商品展開をしています。本当は部屋干し用やスポーツ用、ダニ除けなど用途にあった洗剤があるのにもかかわらず、結局いつも買っているものを無意識のうちに選んでしまう、なんてことは多いはずです。
このように、お客さまのニーズにあった商品を展開しているにも関わらず、お客さまと出合えず埋もれてしまうことがあります。こうした「惜しい状況」を解決したいと、株式会社RetailAIを設立したそうです。

RetailAIの行動基準は「オペレーションドリブン(リアル店舗で運営し、成果を重ね日々改善していく)」というものだそうです。永田社長は数年前までシリコンバレーにいらしたそうで、そこには素晴らしいテクノロジーがたくさんあったそうですが、テクノロジーに強い人ではなく一般的なお客さま(小売業)のためになるものはどれだけあるのか?という疑問があったそうです。いくらテクノロジーが素晴らしいツールがあっても、高価格過ぎるものは小売業にとっては導入が難しいです。だからこそ、永田社長は小売業のお客さまの現状にあわせて、少しずつ成果を重ね、日々改善していくことが重要と考えているそうです。

RetailAIプラットフォーム

RetailAIが考える「RetailAIプラットフォーム」の開発はIoT、ソフト、メディアの3軸で進めているそうです。AI化はビッグデータがないと実現できません。そこで、サイネージなどさまざまな方法でデータ収集を試してきたそうですが、下図にもあるように、棚や人のデータを見られる「AIカメラ」とお客さまデータがわかる「スマートショッピングカート」がまずは集めるべきデータであるという結論に至ったそうです。

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さらに、収集したデータは「MD-Link」というデータプラットフォームを使い、ID-POSデータと合わせて分析します。そして、分析をもとにメディアでもある「スマートショッピングカート」を通して、お客さまに最適な情報を届けるそうです。

このように、AIカメラやカートによる「情報収集」、ID-POSと連携した「情報分析」、カートによる「情報発信」の3つが同じラインでつながらなければ、小売業のAI化はなかなか実現できないと仰っていました。

リアル店舗での新しいメディア「スマートショッピングカート」

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簡単に言うと、買い物中のお客さまと1to1コミュニケーションができるカートです。 現在、約260社のメーカー、卸とデータプラットフォームを共有し、約600万人のID-POSデータを活用しています。これを活用していくことにより、紙のチラシのような1対nのコミュニケーションではなく1to1のコミュニケーションを実現しているそうです。

スマートショッピングカートの主な機能

マッチング
-クーポン:カートに入れた商品に対し、クーポンを発行
-レコメンド:カートに入れた商品の関連商品のクーポンを表示し、誘引
メディア
-広告:購入品の関連広告を表示
-レシピ提案:売場に設置したビーコンに反応し、レシピと商品を提案
-商品との出会い:カートに入れた商品に合うレシピや飲料をおすすめ
時短
事前にスキャンしてしまえば、レジ待ち時間解消に
決済
-お買い上げ金額の可視化
-キャッシュレス

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当初、30~40代の利用者が多くなることを想像していたそうですが、実際には利用者の半数は50歳以上だそうです。多くの人がタブレット型のデバイスに慣れてきているからなのか、スマートショッピングカートのようなサービスも利用するまでのハードルがかなり下がっているのだなと思いました。
ちなみに、スマートショッピングカートを利用することでレジの人時も最大で-20%まで削減することができたそうです。

また、スマートショッピングカートの導入はLTV向上にもつながるそうです。来店頻度が14%ほど上昇したそうです。(例:月4回の来店が月5回になった)
もちろん、1回の購入金額は若干下がったそうなのですが、来店頻度が上がっているので総合すれば月の売上アップになっているとのことでした。

導入事例

スマートショッピングカートの派生効果
P&G社の「女性用給水パッド」の売上が大幅アップ

20~60代女性の半数が潜在顧客になる商品なのですが、今まではレジで直接会計されて商品を見られることへの羞恥心や抵抗感から購入されにくいことがありました。ところが、スマートショッピングカートを導入することにより、対面レジを通らないことで購入の際に障壁となっていた羞恥心や抵抗感がなくなり、売上がアップしたそうです。

AIカメラ・スマートショッピングカートを通してリアル市場での実証実験実施

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コカ・コーラ社初のアルコールブランド「檸檬堂」を全国展開するにあたって、九州でテストマーケティングを実施。AIカメラで情報収集し、スマートショッピングカートのメディア機能で広告を訴求したそうです。
結果として、全国展開まで繋げることができたそうです。

RetailAIでは、現在20店舗以上で2500台以上のカートと3500台以上のAIカメラを使い、140億件のID-POSデータ情報を収集・分析しているそうです。これらのデータを使って、今まで紹介されていた事例のように、1to1のコミュニケーションでお客さまに商品を届けることを実現されているそうです。

先日体験ブログで紹介したイオンの「レジゴー」はレジ待ち時間の短縮が主な目的でした。今回RetailAIさんが紹介された「スマートショッピングカート」はお客さまと1to1コミュニケーションをするのが主な目的になっているようです。どちらも買い物が楽しくなりそうなショッピングカートなので、ぜひ使ってみたいなと思いました。
コロナ禍において、リアル店舗は厳しい局面にありますが、このような新しいテクノロジーによって安全かつ楽しくショッピングできるかたちにこれからどんどん生まれ変わっていくのかも、と想像するとワクワクしますね。

今すぐできる!現実的なDXとは?

今回レポートしたセミナーでは「Shopらん」も講演をさせていただきました。
小売業をDX化するにしても、いきなり高跳びするような投資判断はしづらいのも現実ですよね。まずは目の前の業務を効率化する現実的なDXをしたい!と考える企業もいらっしゃるのではないでしょうか。
そこで、本講演では「Shopらん」を変革のプラットフォームとして活用し、テクノロジーの組み合わせで変革をしていく具体案とお客さま事例を紹介しました。
ご興味ある方はぜひ、下記より講演資料をご覧ください!

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