2018年から、日本ではタピオカブームがはじまりました。2019年の流行語大賞でタピオカドリンクを飲むことを指す「タピる」がトップ10に選ばれました。SNSではドリンクの写真とともに、「タピる」「タピ活」といった用語が若い女性を中心に使われ、拡散するなど社会現象になりました。(すでに懐かしく感じるのは私だけでしょうか?)
中国においても、近年ミルクティーやチーズティーが非常に流行っています。人気のお店は、待ち行列に並ぶ時間も非常に長くなります。有名なお店であれば、1時間以上並ぶこともよくあります。 そんな中、待ち時間の削減と店舗運営の効率化を目指した新しい仕組みづくりを行ったのが、チーズティーで有名なHEYTEA(喜茶)です。HEY TEAは2019年からHEYTEA GO(喜茶GO)という非接触型店舗を導入しました。具体的には、オンライン注文と受け取りロッカーを組み合わせる斬新な運営方式です。
HEYTEA GOの仕組みを一言でいうと、私もよく利用するスターバックスが導入している「Mobile Order & Pay」とアマゾンが取り込んでいる「Amazon Hub ロッカー」の組み合わせたような仕組みです
HEYTEA GOはWeChat*のミニプログラム*を利用して注文します。2020年12月31日まで、HEYTEA GOミニプログラムのユーザー数は3500万人に達しました(HEYTEA公式HPより)。HEYTEA GOが大人気を集めるのはミニプログラムの便利さに繋がっていると思います。
図1:ミニプログラム注文画面
出典:搜狐(Sohu)喜茶首次推出“取茶柜”,這次真不用排隊
専用のアプリであれば、「注文するだけでわざわざアプリをインストールしたくない」「使う頻度が低いから一回インストールしてもすぐ削除してしまう」などがあると思います。その一方、WeChatミニプログラムであれば、インストール不要で誰でもすぐにスマホで注文できるようになります。また、WeChatではWeChat Pay(電子決済)機能も備えていますから、ミニプログラム内で支払いを済ませることもできます。
顧客に負担を感じさせず、気軽に利用してもらえるのはHEYTEA GOミニプログラムの良さではないかと思います。
*「WeChat(微信)」は中国テンセント社が運営するチャットアプリ。中国においては、スマートフォンユーザーであれば誰でも使用していると言っても過言ではないほど、中国人の生活に欠かせないコミュニケーションツールとなっている。スーパーアプリの1つ。
*「ミニプログラム(小程序)」はWeChat内のコンテンツを、ダウンロードやインストールせずに利用できる軽量アプリ。通常のモバイルアプリと同様の位置づけだが、WeChatでは「ミニプログラム」という呼び方をしている。
HEYTEA GOの受け取り方式も斬新です。HEYTEA GOでの注文は「Order→Notice→Pickup」三つのステップに分けられます。 図1の右側のように、ミニプログラムで注文(Order)したら、注文番号が発行されます。商品が出来上がったら、We Chatに通知(Notice)が来ます。通常のカウンターからお渡しするのではなく、店舗内で設置したロッカー(図2)でお受け取りすること(Pickup)ができます。通常のコインロッカーと同じ方法で、右側の操作パネルに番号を入力したらロッカーで受け取ることができます。店員とのやり取りが一切発生せず、完全に非接触型のサービスとなります。
図2:受け取りロッカー
出典:网易(NETEASE)喜茶升級“无接触”,150家門店配備取茶柜
HEYTEA GOは、この新しい取り組みには以下のメリットがあると考えています。
実は日本にも類似な仕組みを導入したお店があります。サントリー食品インターナショナル株式会社は2019年にボトルスタイル・カフェ「TOUCH-AND-GO COFFEE」をオープンしました。事前注文から決済までがLINE上で完結するテイクアウト専用のお店です。 注文方法はHEYTEA GOと大体同じく、LINEから事前注文したら、店舗で設置したロッカーですぐ受け取れます。さらに、ボトルに貼られるラベルネームやバナーの色もカスタマイズが可能で、「世界中一つしかない」オリジナルのボトルコーヒーを簡単に手にすることができます。
「TOUCH-AND-GO COFFEE」はみなさんがよく使っているLINE公式アカウントから注文する方式です。公式アカウントの以外に、LINEミニアプリを使ったことがあるでしょうか?LINEミニアプリはさきほどご紹介したWeChatミニプログラムと同じようなサービスです。2019年6月にリリースされました。 公式アカウントとは異なり、LINEミニアプリの場合は友だち登録の必要もなく、「サービス」のエリアからすぐに利用ができます。また、あくまでもサービス利用のみなのでユーザーへのメッセージ配信はできません。(個人的にこれが一番好きかも笑) LINEのミニアプリも、中国におけるスーパーアプリWeChatのミニプログラムのように、日本で普及していくかもしれません。
先日のブログで紹介した「レジゴー」の話では、会計のデジタル化によって、レジの待ち時間を大幅に短縮することができました。確かに、最近、急速に人々の生活周辺のスピード感が速くなって、それに応じて“待てない人”が増えてきたのかもしれません。私自身の例をいうと、アマゾンで購入した商品が三日間を経っても届かないと遅いなあと思ってしまいました(笑)。
そのため、今後、顧客が求めている「スピード感」に応えられるかどうかはサービスの評価基準の1つになるのではないでしょうか。デジタルトランスフォーメーションによって、どんどん利便性を高めていくのは重要な課題となります。 今回ご紹介したような、スマホ1台で完結できる非接触型サービスは今後どんどん広がっていくと予感しています。私もどんどん新しいサービスを試してみたいと思います!
参考 搜狐(Sohu):喜茶首次推出“取茶柜”,這次真不用排隊搜狐(Sohu):《茶勢喜人 灵感永駐 喜茶2020年度报告》 LINE for Business:LINEでモバイルオーダーが完結!「TOUCH-AND-GO COFFEE」のCXデザインとは
次回の「#海外のお店レポ」も面白そうな情報をお届けします。ぜひチェックしてみてくださいね!(^^♪