チェーンストアの“店舗力”を高めるーPOS情報と周辺情報ー

こんにちは、堀井です。

「チェーンストアの“店舗力”を高める」をテーマとした今シリーズ。前2回で、POS情報の3つの軸(時間/商品/地域)と、これらの軸を跨いだ情報の「比較」といった視点をご説明しました。今回は、POS情報とほかの情報である「天気」について考えていきたいと思います。

天気の影響

「雨が降ると売上が下がる」という話はよく聞きます。もちろん、すべての店舗の売上が下がるわけではありません。その店舗の立地/商圏や客層によっては「上がる」店舗もあるでしょうし、雨の量や降った時間などの条件によって影響の度合いは異なるはずです。
とはいえ、チェーンストアに限らず店舗の売上を左右する要因として「天気」が大きなウェイトを占めているという点については皆さまも異論はないかと思います。

雨などの天気によって売上が減少する場合、下図の3パターンが挙げられます。

雨天による売上減少パターン
天気による売上減少

では、これを踏まえて、天気がお客さまの心理に与える影響について考えてみます。

お客さまの心理

雨に降られると…

単純に雨と言っても、天気予報通りで傘(雨具)の用意と腹づもりができているときと、突然のゲリラ豪雨に遭う場合では、影響や受けとめ方も異なるでしょう。スマートフォンなどでも雨雲/雨量情報が確認できますし、その後の天気の変化や行動予定にもよりますが、お客さまは下記のように考えがちであることは、皆さまもご存じかと思います。

  • 雨のなか出かけるのも面倒だし、買い物はやめよう/近所の店舗で済ませてしまおう 【客数↓】
  • 傘を差すと荷物もたくさんは持てないので、最低限必要なモノだけ買おう 【客単価↓】
  • せっかく購入した商品が雨で濡れるのも嫌なので、買い物は後日にしよう 【客数↓客単価↓】

雨が数日間続くと…

梅雨の時期などで雨が3日間も続くと、近所にスーパーがあって、普段は1Lの牛乳パックや食パン、卵などがあまり売れないコンビニでも、予想外に売れることがあります。
醤油や食用油などもそうですが、食生活に必要な重い商品や、かさばるトイレットペーパーなどは、多少の価格に差があっても最寄りの店舗で購入するケースも多くなります。昨年の夏のように猛暑が続いたときも、暑いから買い物は近所で済ませよう、というお客さまが多かったのではないでしょうか。

気温によっても…

皆さまの店舗の取り扱い商品のなかには、気温によって売れ行きが左右されるものが多数あるかと思います。
最高気温のような「絶対温度」だけではなく、最高気温と最低気温の「高低差」や、前日と当日の「寒暖差」といった身体で感じる「体感温度」にも要注目です。
たとえば、朝は涼しかったのに、日中の気温が高くなると実際よりも暑く感じてソフトドリンクを欲したり、暑い日が続いた翌日に数℃気温が下がっただけで妙に肌寒くなって、温かい商品に手を伸ばしたりすることもあるかと思います。

「天気」「気温」の可視化

もともと数値化されている「気温」はともかくとして、晴/曇り/雨など日々の「天気」は日中でも刻々と変化する場合もあるので、数値化は非常に難しいと思います。(快晴=10点など天気を点数化できないかと、私も昔挑戦しましたが、見事に挫折しました…)

最近では「人工降雨」技術も進歩し、2008年の北京オリンピックでは先に雨を降らせて開会式を晴れにしたという話もありましたが、基本的には天気や気温はコントロールできません。
とはいえ、気象衛星の進化により観測データが増えて品質も改善され、コンピュータの性能向上で解析手法も高度化されたので、予報精度も各段に向上しています。テレビでは翌日の3時間ごとの天気予報や予想気温が発表されますし、Webでは市町村ごとにピンポイントの予報や実績も調べることができ、店舗の発注画面に天気/気温予報を表示しているチェーンもあります。

つまり、現在は精度の高い「天気」や「気温」の情報が比較的簡単に入手できるので、各店舗で記録/蓄積することで「天気」の情報を「可視化」し、自店の発注や品揃えに活かすことが重要となります。

リードタイムにもよりますが、たとえば前日発注の生鮮食品であれば下記のような流れで情報を活用することが考えられます。

  1. 納品日(翌日)の予想天気と気温を確認/記録
  2. 来店されるお客さまの心理や動向を推察して、オーダーする商品や数量を決める
  3. 納品された当日には実際の天気と気温の実績や状況を記録
  4. POS情報で商品動向も確認 *前回ご説明の「売り切れ=欠品/売れ残り=廃棄」に注意

このように、前日の発注から当日の販売までの流れをきちんと振り返り、また次の発注に活かすという「仮説→検証型」のサイクルを確立し、地道に精度を上げていくことが、発注や品揃えの改善につながります。

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